火おこし

nanbo62003-12-30

 南保小に来て,最初の宿泊学習。どやまランド明日だった。そう決まっていたから仕方がない。なにより,活動がない。テントではなくコテージに泊まってご飯を作って,オリエンテーリングをやって終わり。比べてはいけないのだが,前任校のおもしろい宿泊学習との違いに驚くと同時に,学校によってやっていることがこんなにも違うのかと驚いた。そんなボクをやる気にさせてくださったのが当時の水島教頭先生。「火おこし」という案にのってくださって,試作品まで手作りされた。ヒノキの棒を浜田校長が手に入れててくださり,この火おこしだけで,なんとか宿泊は変化が生まれた。何か新しい動きが起こると盛りあがっていくということを学んだ。
 その後,平成9年と平成11年に「火」の授業を行う。理科と社会科を合わせた今でいう総合のような授業。自力で火を熾すのだ。いろんなやり方を子どもたちは試すが,煙は上がるが発火まではなかなかいかない。マイギリ式,ヒモギリ式,ユミギリ式などを試し,材料もいろいろ工夫する。この頃,通販で市販のセットを手に入れる。笑ってしまうほど簡単に火が熾きた。コマのように回転させるマイギリの威力には驚いた。意地になって,最後まで市販品を使わずに挑戦し続けた子も多く,心に残る授業だった。
 やがて,幾種類もの火おこし道具の市販品が販売された。本当に簡単につく。本来は,モミギリが考古学的に正しいらしく,ユミギリは存在自体が怪しいらしい。
 キャンプのお遊び用に数セット持っているが,授業では使わなくなった。実は,今の6年生用に違ったタイプの火おこしキットを個人的に購入したのだが,結局,使わなかった。あまりにも簡単に火がつくため,学習としての体験の意味を認められないからである。これで火を熾して,「昔の人は,たいへんだった。」なんていう矛盾に,子どもを落とし込むことができなかった。
 縄文体験ではなく,あくまで野外の遊びとして使っていくのがいいだろう。キットがないほうがおもしろかった。うまくいかないことを体験しようとする時代に,簡単にできる体験が増えてきている。お手軽なんだけどね。南保小にはキットは合わないだろう。