ビオトープ

nanbo62004-01-06

 ビオトープは平成12年度の卒業制作である。みんなが働いて,協働で作れるものっていうのは意外にない。南保小は,普通の学校に比べれば,特A級の自然環境をもっているが,池がない。石清水の池は人口の鯉向けの池である。というより,この頃にビオトープというものを知った。まだ世の中に認知される少し前であった。まだ,どこもやっていないことを,まず,南保が一番に。これが,本当の理由だった。いろいろ調べたが,情報がなくて困ったのを覚えている。防水シートなるものを池の底面に貼ることを,どの本も薦める。コンクリートやシートを貼ることは高くつくし,そもそも「池」になってしまう。ふと,昔,グラウンドの土で焼き物をしたことを思い出した。子どもたちと掘ってみると,粘土層が現れ,水を貯めても抜けない。感激したのを覚えている。急きょ,夜に保護者に集まってもらった。人の知恵と力を借りようと思った。ユンボ(大型の穴掘りの機械)やいろんなアイディアをいただく。それぞれの職業の専門家というのは,実に心強い。
 仮掘りを小谷さんと長井さんとで1日でやっていただき,ある日曜日に一発でやってしまうことになった。リーダーは長谷さん。子どもたちは小川に砂と石を5台の軽トラックで取りに行く(許可はもらった)。同時にお父さんたちは,取り入れ口と排水口をその場で,いろんな道具と知恵で創り上げる。設計図なし。排水口のアイディアには驚いたのを覚えている。
 朝,大量の枕木を取りに行く。長谷さんのアイディアである。今ではガーデニング・ブームでこんなには手に入らないだろう。クリの材を重く,頑丈で,とても疲れた。ビオトープというのは,本来,池の意味ではない。生物の生息環境の再生という意味であり,池を掘った土砂を積み上げ,バタフライガーデンを作る。これも同時進行であるが,その場での思いつきと,すごい行動力でがんがん進んだ。昼はお母さんたちが用意してくれたバーベキューを楽しむ。学級の力の総動員といったところだろう。同時に,長谷さんはこの機会にと,ログハウスからビオトープまで降りる道を整備される。この道は,今では,とても重要な道となっている。
 かくして,注水式。水を入れたときの感激と,明日には水が抜けるのではないかという不安を楽しんだ。
 ログハウスから流木の里(は虫類のすみか),池,バタフライガーデン,雑草園,高畠神社一体が,実は南保小のビオトープなのである。
 柑橘類やクヌギ,サンショウなどを植え,水生植物を小川から移植し,後日,看板を作って完成した。今では,かなり多様な生物がバランスよく棲んでいる。今では多くの学校に増えたビオトープとは,ちょっと違うプロセスで完成したと思っている。
 この年は6年生が20人もいた。40人いたら,何でもできそうな気がする。